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2021.05.19 ベーキングパウダーのお話

お菓子の会に参加された方から、「パウンドケーキを作っていて。切り分けると真ん中と端では大きさが違うのですが、どうしたらいいですか?」とご質問を頂きました。

昨年、tumblerのブログで「ベーキングパウダーについて」の記事を掲載しましたので、こちらでももう一度皆さんと共有したいとおもいます。

皆さんは、普段どちらのベーキングパウダーをお使いですか?

必要な時に買いに行き、そこにあるものを購入していますか?

私が普段使っているのはラムフォードのベーキングパウダーです。

ベーキングパウダーと記載されて売っているものが、全て同じものではありません。

ラムフォードのベーキングパウダーの組成と、他のメーカー組成。

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違いますね。


ベーキングパウダーはメーカーによってすべて組成が違います。

ベーキングパウダーは、炭酸水素ナトリウムに熱が加わることでガスを発生させて生地を膨張させます。

第一リン酸カルシウムや酒石酸水素カリウムなどは、ガスの発生を促す助剤。コーンスターチは炭酸水素ナトリウムと助剤が反応しないようにするための遮断材です。

助剤の配合が変わると、ガス発生のタイミングが変わります。

早くからガスを出す即効型タイプ、徐々に徐々に長い時間ガスを出すタイプなど、メーカーによって違いますし、同じメーカーからタイプの違うベーキングパウダーが販売されていることもあります。

お菓子を試作する時ベーキングパウダーが必要なら、私はまずラムフォードで試作します。

ミニパウンド型でパウンドケーキの試作をしたとき時、中央がパックリ割れてこんもりお山の形を目指していたのですが、その時のパウンドケーキの配合にあっていたベーキングパウダーは愛国の赤缶でした。

クオカレッスン「ハロウィーンのマジパンプレートとミニパウンドケーキ」より。
中央パックリ、真ん中がこんもりお山のパウンドケーキを目指しました。愛国の赤缶使用。

焼成温度は180℃。周りの生地が焼き固まり、まだやわらかい生地が逃げ場を求めて真ん中で膨張するイメージで焼きます。



パウンドケーキでも、大きく焼いて切り分けて販売したい場合、こんもりお山のパウンドケーキだと、両端と中央では大きさが違います。

同じ厚みで同じ大きさで1カットの価値を同じにするためには、型全体均等に膨らんだ方が都合がいい。

栗のパウンドケーキ・抹茶と大納言のパウンドケーキ
紅茶とアプリコットのパウンドケーキ・ココアとチョコチップのパウンドケーキ

そんなパウンドケーキを作りたいときは、私はメレンゲの泡がオーブンの中で熱膨張して膨らむ力とベーキングパウダーや重曹を組み合わせて均等に焼き上げます。

スリムパウンド型で焼いたメレンゲを加えるタイプのバナナのケーキ。
1本13カットほとんど同じ形です。

そして焼成はじっくりとメレンゲの泡が生地を持ち上げていくイメージ。こんもりタイプよりやや低い170℃位で焼成します。



試作をする時は、ベーキングパウダーのメーカーも記録しますし、実際に講座で使用するのも試作と同じメーカーを使います。

そうでないと、焼き上がりの形が違っていたりするので怖い。

ちなみにベーキングパウダーなど、計量はすべて重さで測ります。

食べきれないので試作はできるだけ最小量で作り、配合が整ったのちに実際の講座の量で作ってみて最終確認しています。

ベーキングパウダー小さじ1杯はすりきり1杯のことですが、少量になればなるほど誤差が出て正確に計量できません。

施設でのお菓子作りのレシピをデータ化する時も、誰が作っても同じになるように、レシピはすべてg表記です。

ベーキングパウダーが変わると、いつものお菓子とは違う状態になるかもしれない。

ベーキングパウダーがなければ、その働きと同じよう働きをするものがないか考えて試してみる。

お菓子は化学変化。理想のお菓子に近づくためには、予測して、試して、の実験の繰り返しです。


お手持ちのパウンド型にぴったりな理想の配合が見つかるといいですね。

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